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天井を見極めることができた実際の事例
今まで見てきたことについて、本当かな?と思われる方に、2020年4月時点で執筆している私が実際に「コロナ・ショック」を察知できた事例をご覧いただくのがいいと思います。
正直この動きを見つけるまで私も半信半疑だったことは認めます。(^-^;
そのため、初動の下落に巻き込まれましたが、すぐにポジションを引き上げたため大きな損失を被ることは避けることができました。今までの私であれば間違いなくホールドのまま、まともに暴落を喰らっていました。
以下のチャートはコロナショック前後のNYダウと日経平均の動きを表したものです。
この中でそれぞれの記号は「T」:天井、「D」:ディストリビューション、「S」:ストーリング、を表しています。
ご覧のように順調に伸びてきたNYダウは、史上最高値を更新した最初の天井のあとストーリングとディストリビューションを連発して最初の売り抜けの動きを見せます。
その後再び上昇しますが、出来高の下落が続き(「だまし上げ」)、次の天井のあとは出来高急増でディストリビューションを連発。一気に下落にスピードがついています。
その後、一度はリバウンドしますがここでもだまし上げの動きが見えており、すぐにディストリビューションを見せて再度下落しています。
恐らく本場米国のCAN-SLIM投資を忠実に実行している投資家は、最初の売り抜けの動きが見えたタイミングで全てキャッシュポジションにしていると思います。
続いて日経平均です。
この中で「日銀」と描かれたところは日銀のETF買い入れのあったことを示しています。日経平均はNYダウに比べるとノイズが乗っているのでわかりづらいですが、最初の売り抜けの動きが見えた後、だまし上げを経て2度目の天井を記録しています。その後2回目の売り抜けが見えます。三度目の天井をつけた後はジリジリと下落していましたが、ディストリビューションが3連発したところから一気に下落しています。
よく見ると3度の天井は、真ん中が高く、次に左肩で右肩が一番低くなっています。いわゆるヘッドアンドショルダー(三尊天井)にもなっていますね。
NYダウに比べてわかりづらいですが、本格的な下落のサインとなったディストリビューションを3連発した場面で売り抜けても充分損失を免れたと思います。
実際に私も徐々にポジションを減らしていましたが全てのポジションを閉じたのはこのタイミングでした。
2000年以降、日本市場は外国人投資家の比率が高まり、米市場との連動性が高まっています。今後も続いていくのかどうかはよく観察していかなくてはいけませんが、NYダウと日経平均の両方をみていくことで、より天井を見極めることが可能になると思います。
最後に
今まで見てきた「天井を見極める方法」ですが、天井前の動きを見ていると力強い相場の上昇が続いており、恐らくリアルタイムで見ていたら、ここから大きく下落する流れになるとは考えにくいと思います。
しかし、オニールが言う通り売り抜けの動きは天井をつける前には動きだしているということもわかってきたと思います。
われわれはかなり前にマーケットの方向性を探る手法を発見し、それを発展させてきた。投資で成功するためには非常に重要な要素なので、これを理解して日々応用できるようになるまで本章を何度も読み返し、今後の投資に生かしてほしい。これを習得すれば、将来大きな弱気相場が訪れても、ポートフォリオの30%~50%を失うような状況に陥ることはけっしてないはずだ。
ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より
オニールの言っていることというのは複雑怪奇な専門的な知識のいるような内容ではなく、ごくシンプルな個人投資家が簡単に取り組める内容です。
ただし、簡単に取り組めますが相当根気のいる作業だと思います。ただ、これができるかできないかがマーケットの天井を見極め、暴落から身を守ることになるのであれば、投資家としてやらない手はないと思います。
マーケットの方向を知るには、主要な指数を毎日のように観察して分析しなければならない。市場の今後の動きを人に聞くなど、もってのほかだ。日々の市場の動きを正確に読み取る力を自分で身につけるのだ。
ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より
巷には投資に関する情報が山のようにあふれており、様々なアナリストや投資家が経済指標や独自の理論で市場の行く末を日々発信しています。しかし、これらの情報をあてにしていると天井付近の力強い動きに対する誤った前向きなメッセージに間違った判断を下してしまうかもしれません。
どれを信じるかは本人次第ですが、もし本当に投資で儲けるのならば、周りに流されるのではなく、自分自身が判断しなければならないとオニールは言っています。
機関投資家や個人投資家を問わず、ほとんどの投資家が最初は天井にダマされる。これはすべて人間心理学と感情の作用なのだ。
ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より
真の勝ち続ける投資家になるためには、地道な分析と事実に基づいた独自の判断。
これをしっかりやっていくことが重要なのだと思います。
市場の方向性に関する記事は以下も参考にしてみて下さい。
このブログの元となっている本について
このブログで取り組んでいる市場分析について、詳しく勉強したい方は以下の本を参考にしてみてください。根気よく取り組んでいけば、市場の流れを見極める力が絶対上がると思います。
それ以外にも買いのタイミング、売りのタイミングなど株式投資に必須の知識が網羅されています。この本を完璧にマスターすれば、あなたも投資で必ず成功できると思います。
さらにCAN-SLIM投資を極めたい方はこちらの本でみっちり勉強してみてください。投資で成功するためのエッセンスが詰まっている良書です。