目次
主導株から市場の天井を見極める
市場の方向の大きな変化を示す指標として平均株価の次に重要なものは何かと言えば、主導株の動向である。上げ相場が何年か続いたあとにマーケットを牽引していた個別銘柄の大多数が異常な動きを見せ始めたら、市場が転換期を迎えていると確信してよいだろう。
ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より
ここでいう主導株とは、当然CAN-SLIMに当てはまり、業界を引っ張るリーダー(シェアが高いという意味ではなく、成長を牽引している)であり、今までの上昇相場を支えてきた銘柄という意味です。こういった銘柄が以下のような動きをみせてきたら天井の可能性を疑うべきだとしています。
■3、4回目のベース形成時期で長期的な保ちあいや間延びした形などの不完全な形になった時
■何カ月も上昇したあとに、2~3週間続けてこれまでよりもさらに急上昇する「クライマックストップ」の形成
■出来高が急増しているのに高値へとブレイクできないような異常な値動きを見せる
■直近の四半期収益が深刻なほど伸び悩む銘柄が出てくる
自分が保有もしくは監視している銘柄にこのような動きが見え、まったく含み益が乗っていないようであれば天井が近いサインといえそうです。
弱気相場の初期の段階では、特定の主導株が下降トレンドに抵抗するかのように強く、上昇できるという印象を与えるものだ。しかしこれは単に、避けられない下落という運命に逆らっている姿にすぎない。やがて本格的な下落が始まると、そこから逃れられる銘柄はなく、いずれは主導株ですら例外なく売り局面に屈するのだ。
ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より
まだまだ上昇は続くと思って暴落前にフルポジになってしまうのは、この辺の影響なのかもしれません。これは個別銘柄だけ見ていたら絶対に気が付かない視点です。
市場の流れ、そして主導株の流れ。両方を合わせて見ていくことが重要です。
その他の弱気相場の警告
これまでマーケットを牽引してきた主導銘柄がつまずき始めて、代わりに低価格でより投機的なボロ株が浮上し始めたら要注意だ!老犬(重厚長大産業)が吠え始めると、マーケットは最後の弱った足でようやく立っている状態だ。停滞株には市場を牽引して株価を上昇させるような力はない。
ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より
平均株価が弱い出来高の中でジリジリ上昇するようなときに、CAN-SLIMで選定した優良株の伸びが鈍化してきて、今まで見向きもされていなかったボロ株が勢いを増してきているようだと、市場の勢いは既に失われており、早晩下落を始める前兆です。
従って、日々の上昇銘柄のランキングを確認するのも大事な作業です。市場の上昇が鈍った時に上位にランクインする銘柄にこういった仕手株系の銘柄が増えてくると、そろそろ警戒する時期と考えるべきです。
天井での反転(相場が新高値を付けたあとにその日の安値で引けたとき)は、多くの場合、平均株価が小さめのベースから抜けて新高値圏内へと向かい始めてから3~9日ほど上昇する間に起こる。過去に現れた天井はほぼすべて同じような状況であったことを覚えておくことが重要だ。また、天井を付けても数カ月は持ち直し、前の高値水準かそれ以上の新高値近くまで値を戻してから、大きな下落を始める場合もある。
ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より
最初のセンテンスについては以下のような捉え方なのかなと思っています。
以下はコロナショック前における市場の天井付近の動きですが、2019年初頭から続いてきた上昇相場が11月に入り横這いの動きとなります。ここがベース形成の部分です。ここから12月に入って新高値圏へブレイクしますが、10日後にその日の安値で引けました。ここが「天井の反転」を示す動きだったという流れです。
これについてはわかりやすいサインでもあるので、過去の天井の事例や今後の市場分析の中でも注意してみていきたいところです。
次のセンテンスについては、2018年末に起こったクリスマスショックや2020年1月のコロナ・ショックが、日経平均の2018年1月の天井を基点にその後の暴落をスタートしたということが分かっています。
中長期的な流れの中で以前天井をつけた水準は相場の転換になることが多いため、その後の動きに注意しなくてはなりません。
次のページは「天井を見極めることができた実際の事例」です。