ここでは実際の投資銘柄について、CAN-SLIMの各要素に合わせて選定理由の妥当性を検証しています。★は5段階で各要素評価しています。
目次
C -直近四半期利益- ★★★★
直近の四半期利益の推移は最新の発表で以下の通りです。
赤く表示してある部分が直近の四半期決算と前年同期の四半期決算になります。
2019年12月期からIFRSに準拠しているため、それ以前との比較はしづらいですが、直近の四半期からは比較可能となっています。これを見ると前年同期比でみると利益は60%以上の伸びを見せています。
2019年9月からは新たなM&Aで売上・利益とも積み増すことがIRでも発表されており、7月に今期決算の上方修正を行っております。その後も矢継ぎ早にM&Aを進めており、加速的に売上・利益が増加する傾向だと思います。
下期からM&Aで売上・利益の増加確定。今後もM&Aで伸びていく蓋然性高。
A -年間利益増加- ★★★★
年度ごとの経営数値は最新発表で以下の通りです。
IFRS基準に変わっているため、直近2年間の決算で分析します。
修正一株利益(EPS)の伸びは直近で2.5倍です。素晴らしい伸びですね。
ROEとROAは2019年9月の四季報でみますと、
ROE:21.2% ROA:3.0%【基準:ROE 17%以上、ROA 7%以上】
となっています。どうしてもM&Aで資金が必要となり、有利子負債が多くなる傾向になりますのでROAの数字が低くなります。しかし、ビジネスの特性上はやむを得ないと考えています。
年間利益は素晴らしい伸び! 低ROAはビジネス特性上やむを得ないと判断。
N -新製品・新経営者・新高値- ★★★★
「グループ連邦経営」によるビジネスの拡大
クリエイト・レストランツ・ホールディングスのビジネスの特徴といえば、「グループ連邦経営」です。
これは、買収した会社の「独自性」とグループとしての「一体感」をバランスよく実現していく。ということが肝にある訳ですが、これを実現することは実は非常に効率の悪いことだと思っています。というのも、それぞれの会社が独自の文化や仕組みをもっていることになるのですから、人事交流や統一したシステム等の構築が非常に難しいと思うのです。
通常はこのように考えると思うのですが、この会社のビジネスの肝は、それぞれの会社には独自に事業を拡大してもらいつつ、経営支援や事業リソースの最適な分配を考えるなど、本社がコンサルティング会社に近い機能を持っていることにあるのだと思います。
細かいビジネスモデルはわからないので想像ですが(^-^;
従って、M&Aをした後の統合に関わる混乱というものが最小限に抑えられ、「グループ連邦経営」の恩恵に預かれるため、すぐに売上・利益に結果が反映されるという利点があると思います。
このようにM&Aを増やしていくことが、すなわち「新製品」としての特徴を持っているのだと思います。
株価の推移
直近の150週の週足チャートは以下の通りです。
オレンジのラインは10週移動平均線です。
基本的には上昇トレンドとなってますが、2018年7月から調整に入っていました。2019年7月には1年前の水準に戻してきてその後調整を続けてましたが、10週移動平均線が追いつくと同時に分割後の上場来高値をブレイクしました。
現在はブレイク後の調整に入っています。現在の水準で平底型ベースを形成するかどうかがポイントだと思います。
M&Aを加速させることがカギ。株価は上場来高値水準にある。
S -株式の需要と供給- ★★★
2019年9月の四季報による株価の保有比率は以下のとおりです。
浮動株は31.30%とやや多めです。経営層の保有率は53.60%となっています。
より強く経営者の意志が業績に連動する状態です。
今後、外国の機関投資家が参入してくるとよりいいんですが。
経営層の保有率は高い。浮動株は30%以上とやや多め。
L -主導株か停滞株か- ★★★★
2019年9月の四季報による業種と時価総額順位は以下のとおりです。
外食上場企業のランキングについては、以下のサイトに詳細が載っています。
これによると、クリエイト・レストランツ・ホールディングスの2018年度売上高ランキングは11位となっています。上位の顔ぶれは前年度と比べても大きな違いはなく、シェアはほぼ分け合っており大きな動きの少ない業界だと思います。
他にもいくつかランキングがありますが、ベストテンには5カ年平均の売上高伸び率で10位に入っているのが唯一です。なぁんだ。と思ってしまいますが、大事なのは売上高ランキング上位の会社で5カ年平均の売上高伸び率ランキングに入っているのは唯一クリエイト・レストランツ・ホールディングスだけなんです。
次に入ってくるのは売上高ランキング20位で伸び率1位のペッパーフードサービスです。ペッパーフードサービスの売上規模はクリエイト・レストランツ・ホールディングスの半分で、しかも原動力の「いきなりステーキ」には勢いに陰りも見えてきています。そう考えると規模も大きいうえにM&Aで多様な業態を束ねることができるクリエイト・レストランツ・ホールディングスが今後も成長の最先端を走る。と考えていいのではないかと思っています。
規模が大きいうえに成長性の高いビジネスモデル。業界を引っ張る存在になる。
I -機関投資家の保有- ★★
最新の有価証券報告書による主要株主の名簿は以下の通りです。
経営者の保有が非常に高い銘柄となっています。機関投資家の保有比率が上がってくるといいですね。外国の機関投資家がチラチラ見えてくるといいと思います。
機関投資家の保有比率が上昇することが安定上昇のカギ。
M -株式市場の方向- ★★★
クリエイト・レストランツ・ホールディングスの所属する小売業499銘柄の対TOPIXのレラティブストレングスは以下の通りです。
小売業は昨年10月から一貫して下げてきていましたが、6月に底を打って横這いに転じ、8月後半からのTOPIXと連動する形で株価を転換してきています。これからのTOPIXの動きが重要となりますが、長らく続いた下落の流れからはトレンドが変わってきているので、市場の流れとしては悪くないと思います。
小売業は長い下落から転換の兆し。市場の上昇と連動して伸びる可能性あり。
クリエイト・レストランツ・ホールディングス【3387】の総評
CAN-SLIMの考え方に基づいて分析した結果ですが、
点数にしますと68.57点(★24点/★35点中)です。
外食業界は成熟産業ではありますので、突出した成長性を継続するのはなかなか難しいのかもしれませんが、クリエイト・レストランツ・ホールディングスのビジネスであればそれが可能だと思っています。そういった魅力をもっと機関投資家に注目してもらうことが重要なのかなと思います。
当サイトにおける推奨内容は一般的に入手できる情報をもとに、CAN-SLIMをベースとした分析を独自に行って記事にしたものです。多分に著者の妄想や都合のいい解釈も含まれております。
どうぞ投資判断はご自身の責任の範疇で行って頂きますようお願いいたします。