目次
アノマリーとは?
投資の世界におけるアノマリーというものをご存じでしょうか?
アノマリーとは理論的には説明しづらいのですが、経験則的に繰り返し起きる現象のことをいいます。
日本で有名なものには「ジブリの法則」なんてありますね。ジブリの映画が日テレの「金曜ロードショー」で放映されると相場が荒れる。というものですが、金融相場とジブリの映画がなんの関係があるの??という感じがしますね。
ですが、「瓢箪から駒が出る」ということわざのごとく、そもそもは偶然だったかもしれない事象を投資家が意識することで、皆が同じ行動を取る(ジブリの映画が放映されるときは売りに走る)ことで、冗談が本当になってしまう。
そんな効果がアノマリーには秘められているのだと思います。
投資の世界は様々な考え方を持った投資家が市場を形成しています。どんなに理論的な分析をしたところで、投資家がどの様な心理でどういった行動を取るかは計算できないものです。
一方でアノマリーとは経験則から来た一種の迷信です。経験則と言う事ですから、過去なんらかの繰り返す事象やインパクトが残る結果があり、それが多数の人の記憶に残る事で形成されていったものだと思います。従って投資をする人の心の中には少なくとも意識しなければいけない事として認識されているはずです。それが実際の投資行動にも反映される事で迷信が事実になる。そんな事象が起きるのだと思います。
アノマリーは過去の経験から導き出された市場の法則である。
理論的根拠はないが投資家が信じる事で繰り返し発生する。
アノマリーは投資に活用できるか?
このアノマリーですが、実際の投資に活用することはできるのでしょうか?
このアノマリーについては馬鹿にする人もいるかもしれません。特に金融工学を扱うような超エリート投資家にとっては。(^_^;)
しかし、私はこのアノマリーを重視します。
私の投資哲学は「事実のみを信じる。」です。
投資の世界における事実とは株価と出来高。これが全てです。
私が「オニールの成長株発掘法」に惹かれたのは、過去の事実を徹底的に検証した結果の投資手法だからです。投資において歴史は繰り返す。これを実証してみせたのが「オニールの成長株発掘法」なのです。
アノマリーも同様です。
先人達が長年相場を経験する中で会得した「事実に基づいた」経験則がアノマリーだと思います。
しかし、アノマリーも様々なものがあります。
中には怪しげなものや、解釈が間違っているものも含まれているかもしれません。
そこでこのブログではアノマリーを過去のデータから有効であるものかどうかを検証していきたいと思います。検証の結果、有効であると判断したアノマリーは積極的に投資手法の中に取り込んでいこうと思います。
アノマリーを投資手法に取り入れる事は、CAN-SLIMのMの項目に関する取り組みと考えています。CAN-SLIMのMに関する概要は以下をご覧下さい。
「CAN-SLIM」のM(Market Direction) -株式市場の方向-
より詳しくCAN-SLIMを知りたい方はぜひ本を読んでみてください。
アノマリーは事実に基づいた経験則なので投資に活用できる。
アノマリーが有効かどうかは事実に基づいた検証が必要。
アノマリーの種類
投資アノマリーの種類については千差万別です。
アノマリーの種類については、株式投資大百科さんのアノマリーのページに詳しく載っていますので、そちらを是非ご覧ください。
このサイト以外にもネットを検索すると色々出てきますね。
このサイトではアノマリーを一つづつ取り上げて過去のデータと照合することで検証していきたいと思います。
今回はまず、最も有名と思わるアノマリー
- セルインメイ
を分析します!
セルインメイとは?
セルインメイとは英語のSell in Mayです。これには続きがあって、
Sell in May and go away, and come on back on St. Leger's Day.
(5月に売れ。そしてセントレジャーデーまで帰ってくるな。)
というのが全文になります。5月に売るだけじゃないんですね。
セントレジャーデーはイギリスのセントレジャーステークスが開催される日のことです。
ウィキペディアでセントレジャーステークスを調べると、だいたい開催日は9月10日~15日くらいが多いようです。
勘のいい方はお気づきだと思いますが、このアノマリーは英語です。しかもイギリスの競馬ですからイギリスが発祥のアノマリーなのかもしれません。あまり深掘りできていませんが、いつからこのアノマリーが言われているかは謎です。
ですが、セントレジャーステークスは非常に歴史が古く、1770年代から開催されている世界最古のクラシックレースです。
20世紀初頭まではクラシックレースの中で最高の権威を誇っていたようですが、20世紀中頃より廃れてきており、現在は凱旋門賞などのほうがメジャーになっています。
そう考えると、このアノマリーが言われだしたのは権威のピークであった20世紀初頭から中頃の間、1901年~1950年くらいなんではないでしょうか?
このセルインメイの原因がなんなのかを調べているサイトもありますが、欧米のヘッジファンドの決算時期によるものだ。といった意見もあります。ちょうどヘッジファンドが生まれたのも1950年くらいです。あながちハズレてもいないのかもしれません。
こんなセルインメイですが、果たして日本の市場で有効なアノマリーといえるんでしょうか?
セルインメイを検証する
このセルインメイを検証するため、日本市場における月毎の騰落額と勝率をグラフにしてみました。
日経平均のセルインメイ
日経平均の2000年から2018年の19年間の結果です。
騰落額は月末の終値から月初の始値を引いた額です。これを19年分足し合わせています。
勝率はプラスになった年度が19年間でどれだけあったかを表しています。
ご覧いただくと一目瞭然ですね。見事に5月にはマイナスに転じています。
まさにセルインメイ!です。
ただし、相場が反転してきているのは11月になっています。
9月中旬ではまだ相場の流れが戻ってきていませんが、仕込むという意味では底である9月中旬~10月というのは正解なのかもしれません。
ところで日経平均はヘッジファンドも関係しそうですが、個人が中心の新興市場はどうなんでしょうか?
次は新興2市場を見てみましょう。
JASDAQのセルインメイ
日経平均に比べるとややバラつきがあるようですが、全体の流れを見るとやはり5月後半からはセルインメイ!だといえそうです。
こちらも10月中旬から上昇して11月にはピークを迎える流れに変わりはないようですね。
マザーズのセルインメイ
どうでしょう。まったく一緒ですね。やはり5月以降には下落の流れとなり、10月から上昇して11月にピークを迎えるという流れは一緒のようです。
セルインメイ!は日本のどの市場でも有効なアノマリーである。ということは実証できたようです。
セルインメイ以外のアノマリー
先程のグラフからは他のアノマリーについても実証できるものがありますね。
特に顕著なものが、
夏枯れ相場
ですね。8月を見てください。どの市場も大幅な下落です。新興市場に至っては勝率が3割を切るような悲惨な月です。今年の8月も酷かったですよねぇ。もっと早くに検証しとけばよかった。。
さらには、
新学期効果
などと呼ばれる、3月~4月の上昇もどの市場にも共通の上げ相場です。
私がこの分析で最も注目したのが、
11月の歓喜
です。これ、勝手に私が名付けました。(^-^;
センスない。。。
名前は別として、目を見張るような上昇月です。1年で最も儲かるのがこの11月という事実。これは絶対忘れてはならないですね。恐らくセントレジャーデーに戻ってこい!というのも、この11月の上昇がわかっていたからなのかもしれません。
アノマリー分析から言えること
今回はセルインメイのアノマリーを検証してみましたが、それ以外にも一年を通してどのような戦略で臨むべきかが見えてきたように思います。
中長期の投資家にとっては、3~4月、11月を投資の回収時期と考え、1~2月、9月下旬~10月を仕込みの時期として考える。
デイトレーダーやスイングトレーダーは、上記の時期はロングポジションをメインとし、6月~10月はショートポジションをメインとした戦略を考えたほうがよさそうです。
このようにアノマリーには過去の知見から得られる貴重な教訓であるという側面を改めて感じることができました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の分析によるポイントをまとめておきます。
〇日本市場においてもセルインメイのアノマリーは有効である
〇市場は3~4月と11月にピークを迎える傾向が高い
〇特に11月は大幅に上昇する可能性が高い
〇8月は夏枯れ相場でほぼ下落する
以上となります。
今後もアノマリー分析を続けていきます!