目次
はじめに
前回の記事、
「資産を確実に増やす株を売るタイミングと考え方・投資スタイルによる売り方の違い」
に続けて株の売却に関する記事です。
今回は最も大事な損切りについてです。
株は利益を確定する事が資産を増やす事だと思いがちですが、実は損切りの方が重要だと思っています。適切な正しい損切りができる事で資産が取り返しもつかない程ダメージを受ける事態を回避できます。
そもそも株で利益確定できる確率はどんなもんでしょうか?
私が思うにせいぜい40%がいいところだと思います。素人投資家なら20%です。もし、これ以上的中率が高い人がたくさんいたら周りは金持ちだらけです。仮に的中率が高くても利益が小さなものばかりであったら、一度大きな損失を被ったら元の木阿弥です。
なのでなるべく小さな損失で抑える必要があります。
今回は、正しい損切りとは?という題目ですが、
◼️なぜ損切りが必要なのか?
◼️正しい損切りとはどういうことなのか?
について述べていきたいと思います。
塩漬け、ナンピン買いをする心理と損切りが必要な理由
株を買うとき、当然ですが得をしたい、もしくは利益を出せると思うから投資する訳です。なので損をした状態で売却するというのはそれを否定する事、損を自ら確定するなんて自殺行為です。そもそも受け入れがたい事だと思います。
ですが、裏を返せば株価が買値より下がっているというのは、自分の思惑が既に外れた事が、現実的に数字となって現れていると言う状態です。既に思惑が外れてしまった事をズルズルと引きずるのは冷静な思考が出来ていない状態です。
一般的な投資家はここで二つの行動をとりがちです。
一つ目は塩漬けです。
塩漬けとは損失を確定せずに買値まで戻ってくるまで放っておくことです。塩漬けは損失を確定していないのだから資産を守るために必要な事のように思えますが、ただ単に確定していないだけで損は損です。さらに大きく下落した場合、元値に戻ってくるまでに相当な時間がかかります。その間にドンドン上がっていく他の銘柄を指をくわえて見ているしかありません。
本来増えるはずの資産が現状維持とはいえ含み損を抱えて停滞しているというのは損失以外のなにものでもないと言えます。
もう一つはナンピン買いです。
上がると思った銘柄が更に下がったんだから、リバウンドする確率が高まったと思ってナンピン買いをしてしまいます。
ナンピン買いとは、買った株を元の買値よりもさらに低い値段で買い増しすることです。例えば100円で100株買った後に株価が下がって、80円で100株追加で購入したとします。そうすると平均した購入単価は90円になります。
購入単価が下がるので、リバウンドした時にプラスに転換するのが早まるわけですが、保有する株は増えているんですから、そのまま下落が続いたら損失は加速して増えます。
ナンピン買いをするという事は認めたくない現状をなんとかしようともがき苦しみ、状況をさらに悪化させる行為です。仮にナンピンが成功したとしても得られる利益は少なく、失敗した時の損失は致命的になる恐れもあります。絶対にナンピン買いは避けるべきです。
損切りをするということは、想定外に動きだした投資行為から自分の資産を守るための唯一の手段です。
さらには上がらない銘柄から上がる銘柄に資金を動かすことによって効率的に資産を増やすための大事な戦略なのです。
そうか。とわかったところで、闇雲に損切りをすれば良いかというとそれもまた資産を減らす愚かな行為です。資産を増やすためには「正しく」損切りする事が重要です。
そのためには三つのポイントがあります。次からその3点について述べていきます。
正しい損切りポイント1・損する事は当たり前の前提で投資する
利益を出すために投資するのにどういうこと?
と思われるかもしれませんが、10割バッターを目指すから塩漬けやナンピンをしてしまうんです。あのイチローでさえついには4割バッターにはなれませんでした。我々素人投資家が損をしない投資なんてできるわけがありません。むしろイチローよりもずっと率の低い、2割バッターくらいで考えるのがちょうどいいでしょう。
ですが、2割の確率で資産が増やせるの?と思いますが、できます。
最近の私の投資実績では、7銘柄で10%程度の損切りを行いましたが、2銘柄でそれぞれ40%以上の含み益を持っています。7銘柄を損切りしながら利益の出ている2銘柄に資金を移動しています。
その結果、勝率としては22%ですが、資産は50%程増えています。
実際に含み益を持っているのは以下の銘柄です。
【2019.4.22】医学生物学研究所【4557】の選定理由
【2019.4.13】RPAホールディングス【6572】の選定理由
このように、8割は負けて当たり前、残り2割で取り戻せる。という感覚を持つことが正しい損切りの第一歩です。
正しい損切りポイント2・儲けが残せる損切りルールを決める
ポイント1で2割で取り戻せるという感覚を持つためには、その2割でどれだけの利益が残せるか?が重要です。その利益を残すための損切りルールの立て方について、ここでは説明します。
メジャーリーグの伝説的なバッターであるベーブルースはホームラン王でしたが、三振王でもあったそうです。三振が多くても当たった時にはデカく打つ事でホームラン王を何度も獲得しています。
これがシングルヒットばかりではどうでしょう?
三振が多くてたまに打つとシングルヒット。速攻でマイナー行きです。
お分かりだと思いますが、残りの2割でそれなりに大きな利益を得なければ到底資産の増える状況にはならないと言う事です。
では、どのくらいの利益が必要なんでしょうか?
ここで簡単にシミュレーションしてみましょう。
100万円の資金があったとして10の銘柄に80%の資産を投入したとします。8つの銘柄は平均で5%の損切りをしたとします。
すると損失の合計は8万円×8銘柄×5%で損失は3.2万円です。
という事は、資産を減らさないためには残りの2銘柄で3.2万円÷(2銘柄×8万円)の利益率、即ち1銘柄当たり20%の利益が必要となります。ここでは分かり易くする為、手数料や損切りした資金を利益の出ている銘柄に追加投資する効果は省いています。
仮に5%の損切りルールを定めた場合、2割の勝率で20%以上の利益を出せば利益が残るという事です。この数字は勝率や損切りのラインをどこに設定するかで変わってきます。
ちなみにCAN-SLIMでは損切りを8%にしており、利益確定を20%にしています。もし2週間以内に20%以上値上がりしたら大化け銘柄の可能性が高いので最低8週間保持する事としています。
ですので、ご自分の投資成績を振り返って、どのくらいの勝率でどのくらいの利益確定ができているかを調べる事で、損切りのラインを決める事ができます。
これであなたは持っている銘柄が下落したとしても、自分の実力からしたら損切りしても取り戻せる。という自信を客観的に持つことができます。
正しい損切りポイント3・常に含み益を持った状態をキープする
ポイント2で客観的に自信を持つことができますが、より盤石に損切りを正しく実行していけるかがこのポイント3です。
仮に2割の勝率でいいとなった時に、もし8連敗していたらあなたの心理状態はどうでしょう?もう後がない状況で、株価が下がったら正しい損切りはできるでしょうか?
恐らく難しいのではないかと思います。だから常に勝ちを先行させる事が重要です。では勝ちを先行させるにはどうしたらいいでしょうか?
そのための方法として、増し玉という方法があります。増し玉とは、予想通り値上がりして利益の乗っている銘柄をさらに買い足す行為をいいます。英語ではピラミッディングと言われてますね。資金が充分にあれば追加投資できますが、ない場合は、損切りや伸びの止まった銘柄を売却してその資金を当てます。
増し玉はナンピンとは対極をなす行為です。仮に株価が上がれば利益の増え方は加速します。株価が下がっても、買値手前で売却すれば損は出ません。資産を効率よく増やすためには必須のテクニックです。増し玉で注意しなければいけないのは追加するタイミングと購入数です。あまりにも買値から上がったところで多くの増し玉をすると、平均の購入単価が上がってしまい株価が急落した時に含み損を抱える可能性があるからです。株価が上昇トレンドの調整からブレイクする時や上昇を始めた初期に少しづつ増し玉をする事が重要です。
このようにして一度掴んだチャンスで含み益を大きく持っておけば、非常に有利に進める事ができます。場合によっては大化け銘柄一つで、20回損切りしても大丈夫な状況を作れるかもしれません。
そうすれば心の余裕もできて確実な正しい損切りルールを守れる事で好循環となり、資産が確実に増える事につながります。
最後に
いかがでしたでしょうか?
損切りの重要性は多く語られるものの、損切りの正しい水準について詳しく説明したサイトがなかったので紹介させて頂きました。
また、ネットを見ていて勝率や買った金額のみを大々的に宣伝しているけども、含み損や損失について載せていないところは信用しすぎるのはどうかと思います。
そもそも100%勝つことはないのですから損失は必ず出ているはずです。その損失をどのようなルールで確定させているかを明確にしていないところはあまり信用しない方がいいと思います。というのも、自分がマネをして投資した時に損失に対する売却の判断ができないからです。結果的にズルズルと資産を減らす結果となります。
損切りが正しく出来るようになれば、投資成績も上がりますし、何より余計な心配が減るので精神的に楽です。皆さんも上手に損切りして資産を増やして頂ければと思います。