目次
はじめに
前回は好決算で下落したUUUMでしたが、今回は悪決算で上昇したチームスピリット【4397】です。前回の記事についてはこちらをご覧下さい。
好決算で下落?悪決算で上昇?決算後の株の動きを読む その1 UUUM【3990】
チームスピリットを投資銘柄に選定した理由はこちらで詳しく解説してます。
【2019.3.27】チームスピリット【4397】の選定理由
全体を見ていくと不思議な事に決算が良い時に上がらず、決算が悪い時に上昇しているんですね。なんとも天邪鬼な銘柄です。
ですが、一つ一つの決算を掘り下げてくと全体の動きが見えてきました。
次の章からチャートに沿って具体的に解説していきます。
チームスピリットの決算とチャートの流れ
まずはチームスピリットのチャートと決算の関係です。
図の中で、赤い▲マークがあるところが決算発表のタイミングになります。
チームスピリットは基本的に右肩上がりのチャートを形成していますが、決算では最もサプライズな内容であるはずの2018/10/15のあとは一時的に上昇したあとは揉み合いしているんですね。そしてその後急騰するんです。これだけ見ると本当に不思議な動き方です。
この事例においても前回のUUUMで分析した時に立てた仮説とCAN-SLIMの分析で説明できますので、次の章から一つ一つ紹介していきます。
2018年10月15日決算前の動き
2018年8月22日から10月15日の決算までの株価と出来高の動きです。
この時期のチームスピリットはIPO後の売買をこなした後、株価は上昇しています。しかし、中身をよく見ると陽線でも陰線でも大きな出来高を伴った動きが発生しています。まだまだ企業の実力を判断できずに大口の方向性も迷いがあったのだと思います。決算前には大きく利益確定の動きがありました。結果的に決算は大幅な上方修正を伴うサプライズ決算だったわけですが、決算後の買いも勢いが続かず、すぐに利益確定の動きがでています。
2019年1月11日決算前の動き
2018年10月15日の決算から2019年1月11日の決算までの株価と出来高の動きです。
この時期の株価と出来高は前回の決算前後で利益確定をした後で大口に迷いもあり、売り買いが交錯する展開となっています。しかし11/1を境に一気に買い集めの動きを見せています。月が替わった瞬間にこんなに流れが変わるんですね。月次でなんらかの投資方針を立てて戦略を練っているのでしょうか。今後調査をする価値はありそうです。
一度買い集めが終わったあとは出来高を落として調整・振い落しの動きを見せるようになります。次の上昇に向けた準備ですね。そして1月の決算を迎えます。進捗率も低く決算見込みの上方修正もなし。なのに急騰です。決算前にすでに上昇させることを決めているかのような見事な買い集め方だと思います。ここから上昇トレンドを形成しています。
2019年4月11日決算前の動き
2019年1月11日の決算から4月11日の決算までの株価と出来高の動きです。
1月11日の決算以降は本格的な上昇トレンドを描いていましたが、2/19に三菱グループへの採用IRをきっかけに上昇トレンドが終了して調整期間に入ります。不思議なのはサプライズニュースと思われるのに急上昇しないところです。一旦大きな利確の動きがありますが、これ一度きりです。上昇のスピードにストップをかけています。この辺に大口のしたたかさがあるんだと思います。すぐに調整期間に入ってジリジリと買い集めを進めています。最後にはしっかりと振い落しの動きも入っています。そしてさほど良くない決算内容にも関わらず大暴騰です。おそらく三菱グループのIRについては大口も注目したのだと思います。しかし自分たちが十分仕込む時間を確保してから決算をきっかけに上げにいったという見方もできるのかなと思います。
分析から考えられること
前回のUUUMと同様の流れが確認できました。
■決算前に利益確定の動きがあると決算後に下げる公算が高い。
これについては、複数の利確の動きがあるという前提条件が付けくわえられます。明確な利確の動きなのか、上昇のスピードを止めるための流れなのかの判断が重要だと思います。
■決算前に出来高も株価推移も低い調整の期間になると上昇する可能性が高い。
これについては同じことが言えます。さらにいうとチームスピリットは時価総額の規模がUUUMの1/3から1/4なんです。より大口の意志を反映しやすいということがいえそうです。決算前に調整と振い落しの期間を形成した場合、決算の内容に関わらず上げの動きを作りだしやすいのだと思います。当然ファンダメンタルに従って成長性のある企業というのが条件だとは思いますが。一度火がつけば、他の機関投資家や個人投資家が群がってきて株価を上げてくれます。
さらにもう一つ条件を付け加えるとすると
■サプライズニュースのあとに株価がブレイクせず出来高を下げて調整期間に入った時は大口介入の可能性が高い。
ということも言えるかもしれません。
最後に
いかがでしたでしょうか?
この決算に絡んだ株価の動きについては、ここ最近決算を迎えた銘柄の前後の動きを分析して上の理論が適用できるか検証をしようと思っています。
それによって明確な傾向として立証できれば、今後の決算時の動きを想定して大口の仕込みをしている時期に仕込み、振い落しの動きに騙されずに決算による株価上昇の恩恵に預かることができるようになると思います。
さらに皆さんが活用できるようにするには、利益確定の動き、調整の動き、振い落しの動き、この判断がしやすいような指標を準備できればと思ってます。
次のリポートではまず他銘柄の傾向がどうなっているのか、その辺をご報告できればと思います!
CAN-SLIM投資とは?
CAN-SLIM投資の各要素の考え方については以下の記事を参考にして頂ければと思います。
1.「CAN-SLIM」のC(Current Quarterly Earnings) -直近四半期利益-
2.「CAN-SLIM」のA(Annual Earnings Increases) -年間利益の増加-
3.「CAN-SLIM」のN(New Products,New Management,New Highs) -新製品、新経営者、新高値-
4.「CAN-SLIM」のS(Supply and Demand) -株式の需要と供給-
5.「CAN-SLIM」のL(Leader or Laggard) -主導株か停滞株か-
6.「CAN-SLIM」のI(Institutional Sponsorship) -機関投資家による保有-
7.「CAN-SLIM」のM(Market Direction) -株式市場の方向-