目次
事例を使った実際の流れ
ここではチェンジ【3962】の事例を紹介します。IPOをして上場後、2016年9月から2019年1月まで5倍以上になった大化け銘柄です。週足で見た全体の株価と出来高の流れは以下の通りです。
それでは、初期の流れから見ていきましょう。
IPO直後は上場時の先行者利益を巡った売買が交錯しています。その後出来高は落ち着きましたが時々大きな出来高を集めています。IPO後を狙った大口の買い集めです。そして最初の調整と振い落しが発生しています。振い落としの特徴は大きな陰線もしくは下ヒゲを伸ばしながら下落します。この段階で個人は上昇が終了したと判断するか、損失が怖くて売却します。
しかし株価は底を割ることがなく上昇していきます。特徴的なのは前回の調整局面の株価を割らないということです。これで買い集めが終了すると空売りの買い戻しを伴いながら出来高上昇。ブレイクの動きです。
この後調整を伴いながら何度か上昇を繰り返します。そして出来高を伴って大陰線となり1度目の上昇を終了します。この後4週間は利益確定の動きです。ここまでが第一弾の上昇局面です。
次は調整から第2のブレークに向けた動きです。
次の調整局面では出来高が極端に減ります。前回の利確時の出来高を見る限り大口も完全に抜けた訳ではなく市場が落ち着くのを待っています。株価の動きもほとんどありません。
途中の局面で出来高上げて一度上昇しかけますがすぐに下げます。出来高の勢いから見ると個人が仕掛けたけども跳ね返された形です。これこそ大口の仕掛けです。この時は株価分割のIRが出ており、個人の買いが集まり上昇しかけましたが、再度仕込みに入った大手に売らされた結果です。
その後徐々に出来高を集めて上昇を始めますが、最後の振い落としが発生します。振い落しは大きな売りが発生せず利益確定の個人が中心となるので出来高は極端に減ります。大陰線や下ヒゲの長いローソク足で個人の引き剥がしを図ります。そして2度目のブレイクをはたします。
最後に終盤の動きです。
最後の局面です。出来高が上がっているのに株価が上がっていない。これは売りの圧力が強まっている事を示しています。ここを最高値として再度の利益確定の動きとなりました。分割の影響もあり、かなり大きな出来高が集中しています。この後は本格的な下落局面に入っています。ここで大口は本格的な利確を行って手を引いたと思われます。当面は大きな材料が出てこない限り、上昇の流れに戻るのには時間がかかると思います。
最後に
CAN-SLIMではこの大口が絡む大化け銘柄の流れのチャートパターンを「取って付きカップ」「平底型ベース」「Wボトム型ベース」などと言った形で誰でも取り組みやすいように定型化しています。CAN-SLIMのチャートパターンに関する記事はまた別途書きたいと思います。
株価チャートはこのように分析していくと全ての事実が反映されている結果です。今回は週足で比較的マクロな視点で分析しましたが、分足などのレベルでも同様の動きは発生しています。単にひとつだけのチャートを見るのではなく、週足で見たときの局面と分足の動きが想定した動きをしているか、出来高が急速に変わるときどのように動いているのかで誰がどのような思惑で動いているのかが見えてきます。
最初はなかなかわかりませんが、数多く見て経験を蓄えていくと同じような動きを何度も見ることがあります。そうした時にどういった展開を今後見せるかを覚えておけば、振い落し局面で売らされてその後の上昇を指を加えてみている。という状況は減らせるはずです。
また、振い落しで売らされないためには含み損をかかえた状態でその状況を迎えないようにすることです。振い落しは、調整時に売りのエネルギーを吸収し切れていない場合は、そのまま大きく下落するときもあります。一番いいのは振い落しが終了し、ブレイク局面を向かえたときに買いに入ることです。調整局面中に買いに入ると、上がるか下がるかわからない局面に対して精神的に余裕がなくなり、間違った判断をしてしまう可能性もあります。なるべく含み損を持たず、余裕のある状況で常に市場を見られるようにすることも大化け銘柄を逃さないために重要な考え方です。
これで大口投資家に負けずにしっかりと利益を確保できるようになっていただければ幸いです!