あなたが典型的な投資家なら、株の売却を考えるときには買値を確認するに違いない。利益が出ていたら売るが、損失が出ていたら売るのを待とうと思うのが典型的な投資家の発想である。なぜならば、そもそも損をするために株式投資をしたわけではないからだ。ところが本来であれば、最も成績の悪い株を売るべきなのである。美しい花壇に生える雑草を抜いていくのと同じである。 |
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買値の呪縛
多くの投資家が悩んでいると思うのですが、買うのはいいけど一体いつ売ればいいのだろうか?という課題があります。買うのはいいんです。損も得もしないんですから。でも買った瞬間から儲かってるか損しているかという葛藤が始まります。しかも損が出てればなおさらです。もっと上がるんじゃないか。待っていればきっと回復する。と。
市場がなぜその金額で取引しているのかではなく、自分の買値が基準になってしまってるんです。オニールはこれを「買値の呪縛」と呼んでいます。題名の「七面鳥の話」はこの買値の呪縛に囚われた投資家が売りの決断を迫られたときの思考を見事に表現した物語についてオニールがフレッド・c・ケリーから聞いた話として「オニールの成長株発掘法」(パンローリング)に掲載されています。
七面鳥の話
男が七面鳥を取るために罠を仕掛けている。大きなカゴを棒で支えており棒にはヒモがついている。ヒモを引っ張ると棒が外れてカゴが閉まる。カゴの下にはトウモロコシがばら撒かれており、トウモロコシを食べにきた七面鳥をつかまえる仕組みだ。一度ヒモを引けば周りの七面鳥は驚いて逃げてしまうので、チャンスは一回しかない。
罠を仕掛けた次の日、仕掛けた場所に男が行くと12羽の七面鳥が罠の中にいた。やがて1羽が罠の外に出た。「しまった。12羽のうちにヒモを引いとけばよかった」と男は言った。「もうちょっと待ってみよう。さっきの一羽がまた戻ってくるかもしれない。」。しかし、さっき逃げた1羽を待っているうちにもう2羽が外に出てしまった。「11羽で満足しておきゃよかったな。しょうがないからあと1羽戻ってきたらヒモを引こう。」その間に3羽がカゴの外に出たが男は待ち続けた。1度は12羽いたのだから諦めるのがイヤだったのだ。
男は最初に箱に入っていた七面鳥が何羽か戻ってくるかもしれないという希望を捨てきれなかった。ついにカゴの中は1羽になってしまった。「奴が出ていくか、次のが入ってきたら今日は終わりにしよう。」そして最後の1羽がカゴの外の仲間の元へ行き、男は手ブラで家路についたのだった。
最後に
この物語の男の気持ち。私にはよーくわかります。しかし、また七面鳥が戻ってくるかもしれないという希望を持つのではなく、全ての七面鳥が逃げて手元に何も残らない可能性を恐れなければならない。とオニールは述べています。
優秀な投資家になるには常に自分の投資した銘柄について客観的な気持ちで見て、その時点で自分が買いたいと思う銘柄なのかを改めてチェックする事が必要なんでしょうね。希望的な観測は捨てて、冷静に判断する。投資においては必須の資質なんだと思います。